2000年(アメリカ)ミステリー
感想★★★★☆
監督:M・ナイト・シャマラン
キャスト
デイビッド・ダン(ブルース・ウィリス)
スタジアムの警備員をしながら、妻と息子とつつましく暮らしていたが、自身以外の乗客が全員死亡という列車事故で、ただ一人生き残る。
シックス・センスに続いてシャマラン監督とタッグですが、前作を全く意識させないところが、なにげに上手な薄毛俳優だと思う。
イライジャ・プライス(サミュエル・L・ジャクソン)
アメコミのイラストを扱う画廊のオーナー。
先天的な骨粗鬆症により、幼いころから数十回の骨折に苦しんでいる。
ブルース・ウィリスとは、「ダイ・ハード」や「パルプフィクション」と結構よく共演してた気がするね。
ジョゼフ・ダン(スペンサー・トリート・クラーク)
デイビッドの息子。
すれ違う両親の間で不安を抱えている。
シャマラン監督は不安げな演技の上手な子役をよく見つけてきますね。
イライジャの母(シャーレーン・ウッダード)
出産時から両足骨折して誕生するほど、イライジャは体の脆い人間でした。
体質を気遣いながらも、気丈に彼を育てた母。
なんで役名をつけてもらえなかったのかと。
「アンブレイカブル」あらすじ。
多数の死者を出したフィラデルフィアでの列車事故で、ただ一人生き残ってしまった、しがない警備員のデイビッドは自分の存在に言いしれない不安を感じていました。
ある日、
「君は生まれてから、病気したことある?」
という、意味不明な手紙によって訪れた画廊で出会った、画廊オーナーのイライジャは、デイビッドに「君は超人的な能力を持つヒーローだ。アメコミ的な。」と告げます。
一緒にいた息子の目がキラキラ。
「さすがパパ!だから列車事故でもへいきだったんだ!」
「ち、違うんだジョゼフ。子供のころ、プールで溺れて死にかけたし。」
息子の夢を即座にぶち壊し泣かす父。
しかし、イライジャは、自分ほどの弱く脆いガラスのような身体の人間がいるなら、正反対に、強く不死身の人間も存在するはずだと確信しているのでした。
その後も彼はデイビッドに、
「ヒーローは弱点を必ず一つ持っている。それが君には水なのだ。」
だの、
「君が、警備員として悪事を働こうとする人間に対して勘が鋭いのは、ヒーローのスーパーセンスだ。」
などと、デイビッドにヒーローとしての自覚を持つよう訴えます。
幼い息子とすれ違い気味の妻とつつましく暮らしていたデイビッドは当初、それを信じず、彼を避けようとしますが、
「そういえば俺、ケガも病気もしたことない。すっげえ力持ちだし。」
とイライジャの言葉に影響を受けていきます。
また実際に、彼は触れた人物の悪事がフラッシュバックのように脳裏に浮かぶという、勘と片付けてしまえないような出来事をたびたび経験していました。
ある日、ひょんなことからすれ違った男が、誘拐殺人犯だというビジョンを見たデイビッドは、彼を追い、監禁されていた少女を救出するのでした。
このできごとでイライジャの言葉を信じることにしたデイビッドは、自分が、人助けをすべき人間なのだと得心します。
パパ「グッ(・∀・)b」(みんなには内緒だゾ!)
息子「グッ(・∀・)b」(うん!)
デイビッドは自分の存在意義を確信したことで、彼の言い知れぬ不安も解消されました。
それに気づかせてくれたことへの感謝を告げるためにディビッドはイライジャに会いに行きます。
「これで、ようやく握手ができるな。」
嬉しそうに言う、イライジャの手を握った瞬間、デイビッドは再びビジョンを見ます。
デイビッドが生き残ったフィラデルフィアでの列車事故は、自分の敵となるヒーローという存在を探し出すために、イライジャが仕掛けたものだったのです。
この時はまた、イライジャが自身をヴィラン(悪役)として、世にその存在を顕現させた瞬間をも意味します。
こうしてイライジャは、自らがヴィランとして、この世界にヒーローを誕生させたのだと満足げに、精神病院に収監されるのでした。
感想。
ぼくは昔、お腹に穴が開いて死にかけて数週間入院したことがあり、その間、この映画のDVDを延々見続けるという奇妙な経験をしております。
そのときのぼくが、
アンブレイカブル(破壊不能)であるデイビッドに光明を見ていたのか、
はたまた、ベッドで身動きできない自分をイライジャに重ねていたのか、
記憶力がチワワなぼくには思い出すすべもありません。
アヴェンジャーズ至上主義の方々には面白くない映画かもしれませんが、ぼくは大好きな映画です。(アヴェンジャーズも大好きですよ!)
アヴェンジャーズやXメンが今のような市民権を得る以前に、シャマラン監督はこの映画で、アメリカンコミックのヒーローの誕生を静かに披露しています。
イケメンな若者しかヒーローになれないわけじゃないんだぜ!
ということで、またね。
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