2016年(アメリカ)ミステリー
感想★★★☆☆
監督:M・ナイト・シャマラン
キャスト
ケイシー・クック(アーニャ・テイラー=ジョイ)
父を亡くした後、引き取られた叔父による虐待経験を持つ女子高校生。
そのトラウマから周囲と打ち解けられず、クラスでは浮いた存在。
ザ・ホード(ジェームズ・マカヴォイ)
幼少期に受けた虐待により多重人格を発症した青年。
「大群」を意味するホード(horde)の名の通り、23もの人格を持つ。
この物語で、有名な多重人格者、ビリー・ミリガンと同じく、24人目の人格を誕生させる。
所持する人格全員に共通して、ストロボなどの強い光が苦手で、苦痛により行動が阻害される弱点を持っています。
それぞれの人格を見事に演じる、ジェームズ・マカヴォイの演技に注目。
ですが、ぼくには違う。あなたに期待しているのは、そこじゃない。
「スプリット」あらすじ。
ある日、パーティーの帰り道に女子高校生のケイシーは2人のクラスメイトとともに誘拐されてしまいます。
彼女たちをさらったのは眼鏡をかけた神経質そうな潔癖症の男でした。
彼の不在時、閉じ込められている彼女たちは、ドアの外で女性の声を聞き、助けを求めます。
しかし、ドアを開けて入ってきたのは、女装した同じ男でした。
彼女たちを誘拐した男は、多重人格者だったのです。
それぞれの人格は、自分たちの守護者として間もなく誕生すると信じている、最強の人格”ビースト”のための生贄として、彼女たちを監禁しているのでした。
その男は、幼いころに父を亡くし、精神に変調を来した母の虐待によって多重人格を発症しました。
ケイシーたちは、懸命に脱出を試みますが、ことごとく失敗してしまい、ついに男の持つ多数の人格の期待通り”ビースト”は誕生してしまいます。
ビーストは、強靭な体に凶暴な精神を持った人格で、ビーストとなった彼は、その名の通り野獣のように暴れまわり壁や天井を這い回るほどの膂力を持つ体躯に変化します。
異常を感じ訪れた彼の精神科の主治医、フレッチャー女医をその手で屠ったビーストにより、他の2人のクラスメイトも彼によって息絶えます。
ケイシーは彼の主治医が書き残した、主人格のケヴィンを呼び出す、彼の本名「ケヴィン・ウェンデル・クラム」というメモを見つけます。
彼の名によって呼び戻されたケヴィンは、銃の隠し場所を伝えケイシーに自分にとどめを刺すように頼みますが、ケヴィンの人格はビーストに引き戻されてしまいます。
ケイシーはビーストに弾丸を撃ち込みますが、彼は怯まずにケイシーに襲いかかります。
ケイシーは死を覚悟しますが、彼女の裂けた服の下の古い多数の傷跡を見たビーストは、彼女も過去に虐待を受けていたことを知りました。
傷ついた過去を持つ彼女にビーストは、「お前は苦痛を受け、浄化されている。」と告げ、銃弾に傷ついた体で立ち去るのでした。
数日後、ある部屋で、世界を変えるビーストの誕生を喜び、自分たちは群れ(ホード)として生きようと語り合う声がします。
ビーストは生き延び、世に解き放たれたのでした。
一方、あるダイナーでは、この事件の報道を観ていた客が、数年前に起きた列車事故を引き起こした犯人のことを話しています。
「あの事件の犯人は何て男だっけ。」
別の席に座っていた、男がそれに静かに答えます。
「ミスター・ガラスだよ。」
答えた男は、”アンブレイカブル”こと、デイビッド・ダンでした。
感想。
シャマラン監督が好きです。
シックス・センス以外はよくわからない映画ばかりの、感受性の低いぼくですが。
マカヴォイが好きです。
色白タレ目の、顔のお肉が柔らかそうであんまり好みではない面構えのあなたが。
このコンビなら観るでしょ!
と思って、映画館へ行ったのですが、
終始、
「違うんだYO!僕が観たいのは!」
という思いでした。
マカヴォイの演技は称賛されてしかるべきだと思います。
プロフェッサー・エグゼビアに抜擢されるのもさもありなん。
でも、ぼくは、「ウォンテッド」の、ともすればパニック障害を起こすウェズリー君のような、気弱な青年から、自身に満ち溢れた”漢”への覚醒。
とか、
「フィルス」の意地汚く、こ狡い悪徳刑事のラストカットの矜持。
みたいな、人間臭い役を観たいんだよ。
ナルニア国は・・・・まいっか。
テクじゃないんだよ。超人じゃないんだよ。
と思っていたのですが。
でも、アンブレイカブルおじさんの登場で、どうでもよくなりました。
分裂、分割を意味する「スプリット」という映画は、2000年公開の「アンブレイカブル」との関連は伏せられたまま公開されました。
ぼくも知りませんでした。
ありがとう、シャマラン監督。
ではまたね。
前作、「アンブレイカブル」についてはこちら。